麦穂4月号巻頭言 待つ・聴く・笑う 主任司祭 細井保路
2022/4/5
待つ・聴く・笑う 細井保路(ほそいやすみち) 来年開かれるシノドス(世界代表司教会議)に向けて、一昨年準備文書が発表されました。シノドスは数年に一度開催され、提起された問題を討議して教皇様に意見を具申し、教皇様はその提言を踏まえて「使徒的勧告」を発表します。その一連の流れの最初に教皇庁シノドス事務局から出される準備文書はリニアメンタと呼ばれます。そのリニアメンタで示された今回のテーマは、「ともに歩む教会のために―交わり、参加、そして宣教」というものです。このテーマに沿って各教区で意見が取りまとめられ、今年の8月には日本司教団としてのまとめが行われ、来年3月には各大陸単位のつまりアジアの意見としてまとめられ、10月の総会を迎えることになります。横浜教区では、16の地区の共同宣教司牧委員会に意見聴取が求められ、すでに司教様に提出されています。 つい最近、シノドスの事務局から、すべての司祭に宛てた手紙が送付されました。教皇様が提唱しているように、教会が「主が住まい、友愛に満ちた関係性によって励まされる、扉の開け放たれた、もてなしに溢れる『家』」となるための意識改革として、このシノドスを位置づけてほしいというメッセージでした。そして、シノドスの準備期間中に3つのことを意識してほしいと書かれていました。 ・神のことばに耳を傾け、それを生きることに基礎を置くために、なにより聖書のみことばを大切にしましょう。 ・互いのことばに耳を傾け、受け入れ合いましょう。具体的な成果よりも、深い対話と真の出会いがあればそれはすでに価値のあるものです。 ・そのためには、すべての人に会いに出かけていくという姿勢が大切です。「出かけていく」という姿勢は、神さまが望んでおられる「すべての人を一つにする」(ヨハネ17・21)ことを成就させます。 意見聴取は、議題をまとめることで終わるのではなくて、課題を私たちが意識し、考え、実践に結びつけていくための作業なのだと言っているのです。そうであるならば、私たちは「ともに歩む教会」というテーマをいつも意識して歩んでいきましょう。 手紙に書かれていた3つのことを私なりに要約すれば、「聴くこと」、そして受け入れるために「待つこと」、さらに出て行って人とかかわるために必要なのは使命感や義務感ではなく、「共に笑い合えること」です。「待つ」「聴く」「笑う」というのは司祭としての私のモットーでもあります。