麦穂7月号巻頭言 夏の庭 主任司祭 細井保路
2022/7/16
夏の庭 細井保路(ほそいやすみち) 司祭館の前の庭は野菜畑になっていましたが、この春思い切って花を植えるようにしました。幼稚園の子どもたちは虫が大好きで、必ず先生が付き添うという条件で、司祭館の庭を抜けて裏庭に虫を捜しに出かけます。それならば、庭にも花を植えて、蝶々やバッタと簡単に出会えるようにしてあげたいと思ったからです。 庭らしくするためには、本当は、季節ごとによい香りのする花の木も植えたかったのですが、木は今以上は増やさないと決めました。木はどんどん大きくなって、やがては邪魔者になることが目に見えているからです。それから、野草もなるべく混在するようにしました。子どもたちにとっては、珍しい園芸種よりも、身近なタンポポやシロツメクサ、つゆ草、ネコジャラシなどのほうが親しみがあるからです。だから勝手に生えて来る野草を大事にしました。菜の花や諸葛菜やツワブキはわざわざ移植しました。春には、アネモネ、ポピー、ルピナスといった色鮮やかな花が咲いていましたが、これからは夏の庭です。是非植えたかった、ルリマツリやレモングラスやジンジャーの苗も手に入りました。今はフェンスのところにパッションフルーツが実をつけ始めています。 木を増やさないこと。野草も大事にすること。子どもたちが虫をとるために自由に動き回れること。大げさに言うと、この3つのことをコンセプトにして庭を設計しています。でも、そもそもは教会の庭なので、もう少し形が整ったら、ミサの後でちょっと腰掛けたりできるような場所にしたいと思いっています。帰りがけにちょっと覗いてみてください。 金沢教会では、ヨゼフ会の皆さんがコーヒーのサービスをしてくださるおかげで、ミサの後の時間は、本当に豊かなものになっています。感染対策に気をつけながらも、お互いに声をかけ合う時間と雰囲気を絶やさないことはとても大切なことです。皆さんの賢明な対応のおかげで、密を避け換気を心がけながら、特別な規制をせずに集まることを実現してきました。感染拡大が終息したわけではありませんが、適当な距離を保つ感覚はもう身についているとの判断で、7月から、聖堂のベンチのマークをはずしました。今まで以上にお互いを思いやる共同体として成長していきましょう。