麦穂8月号巻頭言 平和の祈り 主任司祭 細井保路
2022/8/10
平和の祈り 細井保路(ほそいやすみち) 天使幼稚園の子どもたちは、「主の祈り」と「アヴェ・マリアの祈り」をあっという間に覚え、声を揃えて丁寧に唱えます。今は意味がよく分からなくても、祈る姿勢や、祈りに散りばめられた言葉が、人生の大切な宝になってくれることを願っています。 この二つの祈りのほかに、実はもう一つ、長いお祈りを子どもたちは暗唱できます。昨年この教会と天使幼稚園に着任して、聖堂で子どもたちがスラスラとこの祈りを唱えるのを初めて聞いた時、そのすばらしい内容に心を打たれました。それはこういう祈りです。 「へいわのいのり」 かみさま、わたしたちを へいわのおてつだいができるこどもにしてください。 けんかをしているおともだちを なかなおりさせるように。 がっかりしているひとやこまっているひとを たすけてあげるように。 ひとりぼっちのひとの おともだちになれるように。 みんなをたいせつにしてあげるように。 いじわるをされても ゆるしてあげるように。 わたしたちに やさしいこころをください。 おそらく「聖フランシスコの平和を願う祈り」をやさしくアレンジしたものなのだと思います。実は「聖フランシスコの平和を願う祈り」は20世紀初頭にフランスで生まれ、さまざまな言語に訳されていったものなのだそうです。聖フランシスコの精神をよく表していることや、聖フランシスコの御絵の裏に印刷されたことなどから、いつしか「聖フランシスコの平和を願う祈り」と呼ばれるようになったということです。オリジナルの祈りと同様、この子どもの祈りも作者や出典がはっきりしません。でも、単純に「やさしい心」を願う内容はとてもすばらしいと思います。 今年も平和旬間を迎えましたが、理屈で武装された祈りではなく、単純な子どもの心で祈りながら原点に立ち返ってみたいと思います。