麦穂４月号巻頭言 私にとってのガリラヤ 主任司祭 細井保路
2023/4/4
私にとってのガリラヤ 細井保路（ほそいやすみち） ご復活祭おめでとうございます。いつの間にか春が来て、春の花が咲きそろい、例年通りに復活祭の季節になりました。 マタイの福音書では、復活なさったイエスさまが、墓を訪ねた女性たちに現れ、「恐れることはない。行って、わたしの兄弟たちにガリラヤへ行くように言いなさい。そこでわたしに会うことになる。」（28・10）と言われます。その直前には、彼女たちに天使が現れ、「あの方は死者の中から復活された。そして、あなた方より先にガリラヤに行かれる。そこでお目にかかれる。」（28・7）と告げるのです。さらに、イエスさまは、最後の食事をした夜にも、「わたしは復活した後、あなたがたより先にガリラヤへ行く。」（26・32）とおっしゃっています。エルサレムで死を引き受けたイエスさまは、ガリラヤでまた会えると言われるのです。 ガリラヤは弟子たちがイエスさまと出会い、イエスさまに呼ばれた土地です。彼らの日常の生活の場です。信仰の大事な出発地点であると同時に、日常を取り戻す場所でもあるのです。復活なさったイエスさまに、そこで会えると気づくことは、とても大事なことなのだと思います。 わたしたちは時々、人生をこんなに遠くまで歩いてきてしまったと感じることがあります。そんなときには、神さまとの出会いを感じたときの自分に立ち帰ってみましょう。そうすれば、どんなときにも変わらず神さまがともにいてくださったことに気がつきます。出発点があやふやになってしまっているなら、日常の生活を振り返ってみるだけでもいいのです。そこにも変わらずに神さまがともにいてくださいます。弟子たちと別れる最後のときには、イエスさまはこうおっしゃいました。「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」（28・20）。 私にとっての「ガリラヤ」とはどこでしょうか。私が神さまに呼ばれた日の思い出や、イエスさまに出会ったと感じた日の思い出であるとするなら、あまりにも記憶がボンヤリしてしまっています。でも、神さまが「ここで生きなさい」と与えてくださった私の人生と、私が今生活している場所はハッキリとしています。それが各人の「ガリラヤ」なのであり、そこでは必ず神さまに出会えるのです。
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