麦穂1月号巻頭言 イザヤの見た夢 主任司祭 細井保路

2023/1/10

              イザヤの見た夢                              細井保路(ほそいやすみち)  今年の初日の出は、野島の展望台の上で迎えました。日の出を眺めてから振り向くと朝日に照らされた富士山が見える絶好のスポットです。  なんとなく習慣で毎年初日の出を見に行くのですが、数年前から、ちょっと司祭らしい拝み方はないものかと思い、出かける前に、イザヤ預言書の60章をおさらいすることにしています。これは、御公現のお祝い日の第一朗読の個所です。  (エルサレムよ)起きよ、光を放て。  あなたの光が来て、主の栄光があなたの上に昇ったのだから。  見よ、闇が地を覆い、密雲が諸国の民を包む。  しかし、あなたの上には主が輝き出で、主の栄光があなたの上に現れる。  国々はあなたの光に向かって歩み、  王たちはあなたの曙の輝きに向かって歩む。 ずっと読み進んで行くと、次々に素晴らしい言葉が出てきます。  私は平和をあなたの管理者とし、正義をあなたの監督者とする。  あなたの地で暴虐を、あなたの国境の内で破壊と破滅を、  二度と耳にすることはない。  あなたはその城壁を「救い」と、その門を「賛美」と呼ぶ。・・・  あなたの太陽は再び沈むことがなく、あなたの月は欠けることがない。  主があなたにとって、とこしえの光となり、あなたの嘆きの日々は終わる。  あなたの民は皆、正しき者となり、とこしえに地を受け継ぎ、  私の植えた若木、私の手の業として、私の栄光を現す。  いつも読む聖書の翻訳と少し違うと気づかれた方もいると思います。これは4年ほど前に新たに訳された、「聖書協会共同訳」からの引用だからです。従来の「新共同訳」に読み易さを考慮して手を加えたものなのだと思います。おやっ?と思う訳も時々出てきますが、読み物としては確かに読み易いのです。じっくり意味を探りたいときには、翻訳の違ういくつかの聖書を読み比べてみるのもいいものです。  神さまを光としていただく世界では、平和と正義(神さまがよしとされる業)がすべての基準となるのです。そして、私たちが、「神さまが植えてくださった若木」だという自覚を持つなら、そこに神の栄光が現れるのです。歳の初めに、壮大なイザヤの夢を私たちのものとしましょう。

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